
在宅医療を行ったきっかけは?

鈴木
私が高校生の時に、父が海外での在宅医療や緩和ケアを日本に紹介し、地域で奮闘する姿を見て育ちました。医学生時代はそんなに真面目な学生ではなかったのですが(笑)、そのような父に影響を受けて同じ道を歩んだということです。
在宅医療のよりよい環境づくりとは

鈴木
最近では在宅医療と病院が補完的な関係だと認知されてきたように思います。これからは認知症の方も増えるでしょうし、高齢世帯の方も増えるでしょうから「基本在宅、ときどき病院」が理想じゃないでしょうか。地域の連携、病院や在宅医療機関、診療所などの関係を深化させて地域で連携しスムーズに医療や介護が受けられるシステムですね。

印象に残った患者さんは?

鈴木
がん末期の患者さんを自宅で看取った際に、本人が少しずつ死を認めていく瞬間に直面しました。このとき、自分の死を認めた人間の尊さを感じました。最後は表情も穏やかになり、相続のことや家の中の整理を始めていく姿を見て、このような現場に立ち会わせていただくのはいい仕事だと思いましたね。
コロナ禍で在宅医療はどう変わった?

鈴木
大田区の医師会ではコロナの患者さんは通院困難な在宅患者さんだと考えました。
だから、往診を希望する方には往診する、そして診察した医師が毎日電話して健康観察を行うというシステムを保健所と協力してできたのが大きいです。私以外の在宅をやっている医師たちが一生懸命やってくれたのには感動しました。
在宅医療の概念とは?

鈴木
どうしても医者が主導する形になってしまいますが、地域の医療従事者すべてがお互いに意見を言いながら患者さんのために少しでもいいことができる関係性を構築していく事です。そのためには日頃からのコミュニケーションがとても大事ですね。
地域とのコミュニケーションづくりは?

鈴木
住民の方が地元の行事に若いうちから参加し基盤を作ることで、人脈が増え、地域貢献にもつながります。特に男性は女性とちがって定年退職すると自分の居場所がなく孤立してしまう傾向なので、少しでも若いうちから地元の交流を深めることを勧めたい。
ご趣味は?

鈴木
ギターですね(学生時代にメディカルオールスターズJAZZオーケストラ部活動所属)。私の部屋はすごいことになっていますよ(笑)

好きな言葉は?

鈴木
『出来ることを出来るだけ! 人と人との付き合いを大切に!』です。
患者さんにも同じことを言います。いま自分ができることを精一杯行うこと。これは相手に対しても自分自身に対しても言えることです。