子どもたちの言葉から変わる未来がきっとある 地域の小・中学校で健康講座

昭和上條医療賞・受賞者探訪

第8回 昭和上條医療賞受賞~地域保健医療貢献部門~

市場卓 先生

千葉県松戸市医師会健康啓発委員会代表松戸市医師会の「まちっこプロジェクト」と して地域の多職種や行政とも連携し、小中学 校の健康教育授業を行うことで周囲の大人の 健康意識も向上させるという試みに取り組ま れてきました。「認知症」「感染症」などをテー マとした授業を受ける生徒数は年々増え、小 中学生の認知症サポーターも多数養成されて います。その結果、保護者の健康に対する理 解も高まるなど、地域住民の健康意識向上に も明らかな効果が認められました。

まちっこプロジェクトは、9年前より活動を開始されたと聞きましたが、発足時の先生の思いはどのようなものでしたか?

市場

松戸市医師会の健康啓発委員会からの発案でした。川越先生を中心に3名のメンバーで市の教育委員会訪問からスタートしました。「子供たちに伝えたいことがあります。子供たちから伝えてほしいことがあります。」という合い言葉で教育委員会との交渉を続けました。これを表す造語として、“Child to Community” を掲げました。

何を子供たちから大人に伝えてほしいと思われましたか?

市場

人が生まれること、支え合っていること、その重要性を子供たちに伝えると共にこの事を話題として周りの大人たちと話してほしいと考えました。「あなた達の言葉で,変わる未来がキット有ります」

「伝えてほしい」というのは、子供たち同士、そして親御さんから地域へという展開を期待されたのですね。

市場

その通りです。今では松戸市内の小中学校65校のうち、2023年度は27校、3,127名の児童生徒が受講してくれました。

テーマ別の冊子が素晴らしいと思いますが、皆さんで作成されたのですか?

市場

「いのちの尊さ」から開始して、「認知症」、「感染症」、「ストレス」、「生活習慣」など多岐にわたり編集しました。出張講義の担当ドクターが10名くらいおりますが、どなたがやってもほぼ均質の内容になることを目指しています。ちなみに一人あたり、2、3校の担当となります。

出張講義の最初には大変緊張されたとのことですが、児童生徒の感想文
等で特に印象に残っていることはありますか?

市場

家族内で話してくれたと思うのですが、リビングウイルへの関心が高まった様に感想文で読み取れました。宿題として、「お父さんがもしがんで亡くなるとき、その場所、病院とか自宅とか…」この様なシナリオを提示して話し合ってもらいました。この経験が彼らの将来に大きな影響を与えると思います。

発足して10年目を迎えられ、先生自身のお考えに何か変化はありますか?

市場

自身にとっても良い経験ができていると思っています。それは、日頃から患者さんに病気のことなどを説明していて、なかなか響いていないと感じるときがあります。そんなとき子供さんから親御さんにいってもらえれば,もしかしたらうまく伝わるのではないかなと考えることがよくあります。

多くの児童生徒さんたちと触れ合う中で、感じたことは?

市場

児童生徒さんたち100人に50分話して、ちゃんと反応してくれるので、いつも嬉しくなります。いつも子供さんから元気をもらっています。
また、聞いてくれる子供たちの何人かが将来、医療や福祉に関心を持ってくれることも大きな期待の一つです。

グループワーク形式も取り入れているようですが、どんな様子ですか?

市場

一年に1、2件なのですが訪問看護師やケアマネージャー、民生委員、市役所職員などの協力を得て行っています。サザエさん一家の様子をシナリオなどに応用して、わいわいやっています。大変効果的に思います。

このプロジェクトの今後の展望(理想)を教えてください。

市場

松戸市の全ての児童生徒さんと話し合える機会が得られればと期待しています。彼らの意思をここ松戸市から発信してほしいですね。

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